2017年10月24日火曜日

【書評】古内一絵『風の向こうへ駆け抜けろ』(小学館文庫)

ベタなところがいい


 ぶっちゃけ、ベタなストーリー。でも、そこがいい。昭和の香りの漂う、青春スポーツ小説だ。
 やる気のない厩舎スタッフや、有力馬主の嫌がらせなど、「分かりやすっ」という障壁に立ち向かう新人女性騎手が主人公。しかし、彼女のひたむきさが仲間のやる気を呼び起こし、厩舎は一丸に。そこに一頭の馬も加わり、みんなが一体となって障壁を乗り越えていき、最後には…という、ひと昔前のスポ根マンガのようなストーリーだ。でも、それがいい。
 主人公のひたむきさには、ついつい肩入れしたくなる。しかし、主人公を女性としてではなく、娘として見てしまうのが少し残念だ…。

 最近、本書のような「ベタ」なストーリーが復活しているような気がする。「アルプスの少女ハイジ」に代表される(?)、「理不尽な障壁をひたむきに、まっすぐ乗り越える」的な昭和風の話が増えているように思うのだ。
 好景気と言われるのに、それが実感できない。そんな閉塞感が、こういう昭和の香りのストーリーを求めさせるのかもしれない。

《あらすじ》
 主人公は地方競馬の新人女性騎手、瑞穂。配属されたのは、全く人気のない競馬場の、全くやる気のない厩舎。調教師もスタッフも、なんの覇気もない。そんなどん底の環境で騎手生活がスタートする。さらには有力馬主の陰湿な嫌がらせにあってしまう。
 そんな状況の下、ついに動いたのがボスの調教師。女性騎手のひたむきさが仲間を動かし、厩舎が一丸となり始める。そこへ加わった競走馬とともに、みんなで障壁を乗り越えていく。そして、ついには中央競馬(JRA)のレースにも出走。その結果やいかに。



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