2017年9月19日火曜日

【書評】小林雅一『ゲノム編集とは何か―「DNAのメス」クリスパーの衝撃―』

いよいよ「遺伝子組換え人間」が現実に


 ゲノム編集という分子生物学の技術が、いかに画期的であるかを語った本である。この技術が開発されたことで、ついに人の遺伝子(DNA)を書き換えることができるようになりつつある。近い将来「遺伝子組換え人間」の実現が、技術的には可能になるだろう。

 いままでも遺伝子を書き換える技術は存在した。それを使って作られたのが遺伝子組換え作物だ。しかし、従来の技術では、遺伝子をDNA上の狙った場所に入れることはできなかった。また、遺伝子を運ぶためにウイルス等を用いる必要があり、成功率も非常に低かった。

 そこに登場したのがゲノム編集である。この技術を用いれば、狙った場所に遺伝子を入れることができる。しかも技術的にも熟練の必要はなく、学生レベルでも十分に行える簡単さなのだ。
 いまはまだ安全性が証明されていないので、遺伝子組換え作物には使われていないが、間違いなく、近い将来、遺伝子組換えにはこの技術が使われるようになるだろう。その結果、遺伝子組換え作物だけでなく、遺伝子組換え動物や薬物も登場することはほぼ確実だろう。
 次に来るのは、当然、人間の遺伝子組換えだ。遺伝子を書き換えて、頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗な人間を作ることができる時代が、いよいよ到来するだろう。

 本書は、このように画期的な技術であるゲノム編集について、どういう技術かをまず簡単に説明する。続いて、それが社会に与える影響や、どういう方向で研究が進められているかなどが解説される。ゲノム編集がどういうものかをひと通り知り、何が画期的で何が問題なのかを理解するにはうってつけの本である。
 ただし、日進月歩の技術を解説した本なので、刊行して1年が経ち、早くも少し古くなっていることは述べておきたい。




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