2017年3月31日金曜日

【書評】木村凌二『競馬の世界史─サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで─』(中公新書)

なんとうらやましい…


 古代ギリシャオリンピックや古代ローマの戦車競争(ベン・ハーだ)から始まり、17世紀のサラブレッド誕生を経て、近代競馬の体系が作られていき、そして現代の競馬に至るまでを解きほぐした好著。各時代の名馬も紹介され、血統についても学べる本に仕上がっている。現代の競馬体系や血統がどのように成り立ってきたかがとてもよく分かった。

 何を隠そう(隠してないけど)私は競馬オヤジで、ほぼ毎週、競馬を楽しんでいる。競馬歴も20年を超え、オールドファンの領域に入りつつあるが、本書の著者である木村氏にはとうてい及ばない。
 今年で70歳を迎える木村氏は、若い頃から競馬が好きだったというから、数少ない、シンザンの現役時代を知る競馬ファンの一人であろう。しかも元東京大学教授で、専門は古代ローマ史。そのため、毎年のように数カ月間海外に滞在して研究しており、その間に主にイギリスやフランスの競馬場に足を運んでいたそうだ。ダンシングブレーヴの伝説の凱旋門賞大外一気、シーキングザパールによる日本調教馬初の海外GI制覇、最近ではオルフェーヴルが惜しくも2着に敗れた凱旋門賞などを生で観戦しているのだ。きっと、競馬の時季を狙って海外に出かけていたに違いない。
 うらやましいにもほどがあるが、「競馬の世界史」を書くのにこれ以上の適任がいるだろうか。うんちくをひけらかすことなく、静かに筆を進めていく様子にも好感を持った。

 血統の知識があると、本書をより楽しむことができるだろう。私はダビスタにハマった口なので、血統はそれなりに知っている。サラブレッドの長い歴史のなかでは、ノーザンダンサーはもちろん、ネアルコやニアークティックなどの名馬も、わりと最近の馬であることが実感できる。

 競馬ファンは必読の書。特に競馬を単なるギャンブルと捉えるのではなく、そこにドラマを感じる人にはぜひ読んでほしい。競馬に興味のない人には…まずは競馬場に行って、競馬の魅力を知ってから読んでください。



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