2016年12月7日水曜日

【書評】宮部みゆき『スナーク狩り』(光文社文庫プレミアム)

まるで「殺意」が人から人へ乗り移っていくようだ。その「殺意」が最後に行き着く先は、果たして…


 「殺してやる」という感情、すなわち「殺意」。この殺意を極限まで高め、ついには殺人を実行しようとする女。そしてその殺意を受け継ぐかのように、ある男が全く別の復讐劇を決意する。果たして復讐は成功するのか。そして、次々と受け継がれる殺意は、最終的にどこに行き着くのか。

 本作でも「お前、もう死ね」と言いたくなる、胸くその悪い連中が登場。宮部小説のお約束だが、何度読んでも本当に胸くそが悪い(苦笑)。しかも、その人数は通常よりも多め(当社比)。心して読んでほしい。

 なお『スナーク狩り』というタイトルは、ルイス・キャロル(『不思議の国のアリス』の作者)『スナーク狩り 8章の苦悶』(The Hunting of the Snark(An Agony in 8 Fits))という詩からとったもの。こちらはルイス・キャロルらしく、奇想天外な物語だそうだ。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
スナーク狩り [ 宮部みゆき ]
価格:720円(税込、送料無料) (2016/12/7時点)

楽天ブックス

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿

【読書メモ】東野圭吾『あなたが誰かを殺した』(講談社)

 加賀刑事シリーズ、最新第12作。娘が学校の図書館で借りてきてくれたので、文庫化前に読むことができた。  このところ、加賀の人生に絡んだ話が多かったが、シリーズの原点回帰。加賀は探偵役に徹して事件を推理する。いかにもミステリーなミステリー小説だ。  別荘地で起きた連続殺人事...