2016年7月28日木曜日

【書評】東野圭吾『仮面山荘殺人事件』(講談社文庫)

殺人事件と強盗事件。この二つの絡みが絶妙


 隔離された空間で殺人事件が発生するという、いわゆるクローズドサークル物なのだが、普通のクローズドサークルではないところがさすが東野作品。

 夏の山荘に8人の男女が集結。その山荘で殺人が起きる。犯人は残りの7人のうちの誰なのか。外部とは隔絶された空間で、さまざまな思惑が絡み合う。
 このように書くと、よくある「クローズドサークル物」なのだが「クローズド」の状況がひとひねりきいている。山荘に強盗が押し入り、集まった人々を軟禁することにより「クローズド」な状況が生まれるのだ。
「誰が殺ったのか」という謎解きと、「強盗による軟禁」という状況の二つが並行して絡み合うことにより生じる、半端ではない緊張感。あれよあれよという間にラストへ。そこで明らかになる「仮面」の意味。

 東野氏の初期の作品で、荒削りという評価もあるだろうが、一気に読ませる迫力はいま以上かもしれない。



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