2015年6月25日木曜日

【書評】涌井良幸『統計力クイズ―そのデータから何が読みとれるのか』(実務教育出版)

クイズ形式で手軽に統計センスを身につけられる


 全部で84の問いがあり、それに答えていくことによって統計的センスを身につけていく本。「問題」というよりも「クイズ」的な問いに仕立てられているので、スッと入っていける。答えが当たった・外れたも一興なのだが、解説を読むことによって統計的な考え方の理屈が分かるという仕組みになっている。

「オッ」と思ったクイズをいくつかあげておこう。

問題42 女の子ができるまで子供を産みたい(最大3人まで)。男女の生まれる数はどうなるか?
①女の子が男の子より多くなる確率が高い
②男の子が女の子より多くなる確率が高い
③女の子、男の子の数は変わらない

問題58 精度99%のガン検査、陽性反応で引っかかってしまうと…
「ガンにかかっている人の99%に陽性が出る検査で陽性が出てしまった…」という問題。
①検査結果から、99%の確率でガンと言える
②ガンであるか否かだから、50%の確率である
③これだけの情報では何とも言えない

ちなみに答えは両方とも③である。私も見事に間違えたのだが、解説を読むと答えが③になる理由がよくわかった。こんな感じで統計的な思考法を身につけていくのだ。

 このように、本書は統計的センスを養うための入門書としてはとてもよくできている。ただし「統計的な考え方をした結果、何が言えるのか」、すなわち「統計的な思考法をする意味」にはほとんど触れられていない。だから、統計に馴染みのない人が本書を読むと
「なるほどなるほど、答えがそうなることは分かった。それで?」
となってしまうかもしれない。
「統計的なものの考え方は大事だ」
ということがすでに分かっている人には、たいへん優れた入門書である。




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